成長による不調と対策 事例②発育が早いケース

シリーズ5話目のテーマは、

U12で体が大きくて勝てていた選手が
【U14以降で失速し、勝てなくなったor大人になるまで勝ち続けてトッププロになった】事例

についてです。


前回の記事は、発育が遅いことで
なかなか同世代の選手と戦っても勝てない。
成長を待っている間はもがいても成績が上がらず、
ライバルたちはどんどん先に進んでしまう。

そんな切実な悩みや取り巻く環境についてでした。



今回の記事はその逆。
発育が早く、低年齢で勝てている選手についてです。

2013-1.12.5.1.jpg

↑このグラフでいう
「発育が早い」方の選手です。
生まれ持った遺伝子や生活習慣の影響で、
同世代よりも体格に恵まれる選手がいます。



このケースはなかなか大変です。
本当の意味で成功するには、
超えないといけない壁が4つ
(女子の場合は5つ)あり、この壁を超えないと
今は勝てていても、やがて失速する可能性があるからです。



ちなみに何度も書いていますが、
僕の活動理念は、選手の可能性を潰さないこと、
チャンスを手にしてもらうことです。


決して脅かしてるわけではなく、
多くの選手に訪れるネガティヴな未来と
それに対する対策を、順序立てて説明していきます。




第1の壁:慢心せず冷静に現状把握できるか


発育が早い選手は、はたから見ると
現時点では順風満帆に見えてしまうのです。


前の記事でも述べましたが、
U12の世界で発育が早い選手と遅い選手の戦いでは
生物学的には13歳と8歳がケンカするようなもの、
ジャイアンとのび太が戦ってるようなものです(笑)


当然、技術に大きな差がなければ
13歳(ジャイアン)が勝ってしまいます。
それがはたから見ると、
「〇〇ちゃんは強いね!」
「同世代ではずば抜けてるね!」
とお褒めの言葉ばかりになります。


本人は子供なので、周りの言葉を鵜呑みにして
「自分には才能がある!」と
勘違いしてしまうことも多々あります。

そして時に、周り(保護者や指導者など)も
冷静にその選手を見ることができず、
「このまま行けば、将来有望だ!!」と
なってしまうこともあります。

しかし、もう一度同じ表をあえて載せますね。。

2013-1.12.5.1.jpgのサムネール画像

発育が早く、のび太に勝っていたジャイアンですが
のび太もやがて大きくなります。
前記事で書いたように、
のび太は自分の不利を知っていて、
現状勝てないので必死です。


きっと、必死に技術やコーディネーション能力を
磨いてくるでしょう。
※発育が遅いうちは、支える筋力やパワー系が
弱いので、技術の飲み込みも早くありません。
しかし、成長したら嘘のように技術が上がってきます。


そんなのび太がジャイアン並みの体格になったら
どうでしょうか?
それでもジャイアンは勝てそうですか?


冷静に見て、「技術力で勝っている」なら
いいと思います。
しかし、「体格の差だけ」で勝てている場合、
そして本人や周りがそれに慢心しているケースは
U14から失速しやすくなってしまいます。


この壁を越えるポイントは
「冷静に現状分析すること」です。
舞い上がる気持ちをグッとこらえて、
・なんで勝ててるか?
・成長が追いつかれて、それでも尚トップをキープできるか?
冷静に考えることが大切です。




第2の壁:スキルとコーディネーション能力を磨く(3年先の稽古ができるか)


最初の壁でお伝えしたように、
のび太はやがて大きくなります。
ひょっとすると、ジャイアンよりも。


それも、体格を補うために必死に身につけた
フットワーク、技術、その土台となる
コーディネーション能力を備えて。
こうなるともはや、のび太ではありません
今までとは違う選手です。



ちなみに、発育が遅い選手が成長して
それまで上位だった「発育が早い組」を
抜かしていく年代があります。

それがU14〜U16です。

この年代は本当に、ランキングや成績の
順位が変動しやすいです。
(進学に伴う進路変更などのの問題もありますが)



では、発育が早い選手は追い抜かれないために
どうすればいいか?


それはPHVが終わってしまうまでに、
テニスの技術と、土台となるコーディネーション能力をできる限り磨くことです。


もしかすると、ピンと来ましたか?


そうです。前記事に挙げた「発育が遅いジュニア」
がやるべき課題は、実は発育が早いジュニアこそ本気で取り組まないといけないのです
※なので、発育が早いジュニア(に関わる方)は
必ず前記事を読んでください



ちなみに、発育が早くて勝ててる選手も
競技テニスで今後もやっていきたいなら、
前記事にあげた「身長を伸ばす工夫」を必ずやっておきましょう↓

IMG_72443.PNG

これは、今年4月に ITFジュニアで
オーストラリアに遠征した時の写真です。


赤は日本のジュニア。
当時15歳で、身長は160cmちょいです。
日本女子選手(U16)の平均よりちょい上くらいです。
対戦相手は...目測175cmはありますね。


ITFジュニアは13~18歳まで無差別級で戦います。
発育が早く、低年齢で勝てている選手は
各地域のトレセンやテニス協会の推薦で
ITFなどの大きな大会に推薦されることがあります。

※これが、発育が早い選手の最大のメリットでも
あります。
とにかく経験を積みやすい。
大きな舞台で活躍するチャンスがどんどんやってくる。
そこで勝てば、上昇気流に乗ることができる。



一方で、大きな舞台に出れば出るほど、
自分よりさらに規格外の体格の相手と
戦うことになります。
今までは
ジャイアンVSのび太だったのが、今度は
ジャイアンVSジャイアンのパパ
みたいな構図になります。

そんなときでもやっていけるように、
発育が早いジュニアこそ「身長を伸ばす工夫」を
必ずしておきましょう。



第3の壁:練習相手がいなくなる(と感じる)

スクリーンショット 2017-12-06 20.47.33.png


フィジカルに関わる人間としては専門外ですが、
発育が早く勝っている選手ほど、だんだんと
自分よりレベルの高いジュニアと練習する機会が
少なくなるようです。


特にテニスの場合、テニスクラブは中学まで、
高校に入ったら、同じレベルが練習できる
有名高校の部活に入ることが多いので、
どうしても中学3生くらいのジュニアや
そのレベルに達した発育の早い選手は、
練習環境に困ってしまうケースがよくあります。


ただ、クラブによっては高校生やOB、
コーチなどとハイレベルな練習をできる環境もあります。


ご自身のクラブを見ていると、
その環境があるかどうかは分かると思います。
もし近い将来、この問題が出て来そうなら
早めにクラブのコーチなどに相談してください。


熱心なコーチであれば、その選手のために
環境を考えてくれるはずです。
※育成は何より、コーチとの信頼関係が大切です。
そのクラブに勝手に見切りをつけるのではなく、
きちんと現状や今後のことをコーチに相談しましょう。





第4の壁:成長期に訪れる不調(クラムジー)


クラムジーという言葉をご存知でしょうか?
あまり知られていませんが、とても重大な問題です。

簡単に言うと、成長期に突然パフォーマンスが落ちてしまう現象です
こちらに参照の記事を載せておきます


主に成長期の後半、
PHVを過ぎてからやってくることが多く、
本人は頑張っているつもりなのに
どうやっても調子が悪い。
今まで通りに体が動かない。
パフォーマンスが上がらない。

そんな時期が半年〜2年くらい続くんです


これは個人的に、めちゃくちゃ大問題だと感じています。
何が問題って、これに悩んでいるジュニアは相当多いはずなのに、クラムジーという言葉がテニスでは認知されていないということです。
※サッカーやフィギアスケートなどではよく知られているそうです


そして発育が早いジュニアにとっては、
14歳〜15歳と、中学卒業以降の進路を考える
その真っ最中に襲われる症状でもあります。

今まで順風満帆だったのに、急な不調のせいで
進路を変更せざるを得ない...
そんな問題も見られます。


めちゃくちゃ大問題ですが、現状謎な部分も多いので、次回のテーマで詳しく取り上げて書いていきますね。




第5の壁:急激な女性ホルモン増加による不調

男子には関係のない話です。
女子選手はもう一つ、超えないといけない
壁があります。


女性ホルモンの急激な増加、つまり
「体の女性化」によるパフォーマンス低下です。

AS20151003002640_comm.jpg

↑浅田真央選手をイメージするとわかりやすいかも。
急激に体が少女から女性の体に変わり
今まで飛べていたトリプルアクセルが飛べなくなる...
そんなこともありましたね。


ジュニア女子は、ある時期を境に女性ホルモンが
急激に出始めます。
それによって体脂肪が増え、一気に女性の体になっていきます。


例えれば、エンジンはそのままで車体だけが重くなる訳ですから、パフォーマンス(特にスピード、ジャンプ系)は下がってしまいますよね。


今まで細身で身軽だった選手や
スピードが武器だったほど、これに苦しめられる
ことになります。


大変なのは、これが起こる時期が
PHVの後、身長の伸びが落ち着いてきた頃で、
ちょうど先のクラムジーの時期と被ります


この問題も、クラムジーと並んで
きっちりと伝えたいので、次回以降テーマとして取り上げて書いていこうと思います。





・・・・・



発育が早い選手に訪れる問題と
その対策をまとめてみました。

なかなか大変でしょ?


ですが、発育が早い選手ほど
チャンスを得やすいのは事実ですし、
実際、今の日本テニスのシステムは
発育が早い方が有利なシステムになっています。


超えないといけない壁は多いですが、
これを超えると成功を掴める確率もグンと
高まりますので、次回以降もぜひ見てください。


次回は、先に上げた4つ目の壁
「クラムジー」についてです。
調子の悪いジュニア、必見です。



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マンツーマンで行なっています。
詳しくは以下のテニスフィジオHPよりご覧下さい。





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このブログ記事について

このページは、有限会社テニスエナジーが2017年12月 6日 21:16に書いたブログ記事です。

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