2017年12月アーカイブ

1月のエナジー来校日は以下の通りです。

1月は元旦を除いて全ての日曜日来校していますので、パーソナルのご希望がありましたら、白川コーチまでご相談ください。



1月
7日:日曜
14日:日曜
21日:日曜
28日:日曜


よろしくお願いします。


今日の写真/New PC!!
IMG_8672.jpg

ここ数日連絡が止まっていて申し訳ありません。
ついに6年間使っていたMacが壊れました。。
雨の日も風の日も一緒に頑張った相棒ですが
突然動かなくなった。。

過去のデータも取り出せるかわかりませんので
急遽新しい相棒を買うことになりました。

しかし最近のMac高すぎですわ〜〜
年末にキツイ出費です。。



ウインタージュニアが近づいてきましたね。
このブログを読まれてる方は、当たり前ですが
いいコンディションで試合を迎えたいですよね。


体やテニスのコンディションはもちろんですが、
会場の状態を知っておきたい方は多いと思います。
特に初めて行く会場ならなおさらですね。

そして、選手にとってもろ刃の剣になるのが


です。

風の強さによって戦略は大きく左右されますが、
風の強さは自分ではコントロールできません。

しかし、試合当日の風の状態を予想することは可能です

これによって、当日の会場のイメージがしやすくなります。



今回紹介するのは、試合会場の風速予報ができる
無料サイトです。
無料だし会員登録も必要ないので
知らないとマジで損します。

windy.comというサイトです。

スクリーンショット 2017-12-19 13.11.51.png

こんな感じで、風向きやその強さなどを
一週間先まで細かく見ることができます。
この予測、実際使っていても
なかなか精度高いんですよ。

ちなみにこのサイト、
全国どの場所でも見れるどころか
全世界どの場所でも見れます。

スクリーンショット 2017-12-19 13.15.23.png

スクリーンショット 2017-12-19 13.15.51.png

ちょっと拡大しすぎたので変わりにくいかもですが
オーストラリアのメルボルンという街です。
全豪オープンの会場がある街で、
過去に僕もITFジュニアのサポートで入った場所でもあります。

こんな風に、世界中どこでも見ることができます。
海外遠征にもオススメですね。


これとグーグルマップとかで会場の方角を
確認することで、会場がどの風向きでどの強さかが
ある程度予想できるようになります。


試合当日の会場のコンディションがわかるのは
安心材料ですし、ぜひ活用してください。。






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テニスフィジオでは、ジュニア選手の
トレーニングや体のケアを大阪のジムにて
マンツーマンで行なっています。
詳しくは以下のテニスフィジオHPよりご覧下さい。




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シリーズ7話目のテーマは、

成長期に女性ホルモンの影響で心身に変化が起こり、不調に陥った(そこから改善した)事例
についてです。


※このシリーズの記事は、以下から全て見ることができます。
まだシリーズ過去の記事を読んでいない方は先に過去記事を見てください。


成長による不調と対策









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


前回のクラムジーと同じくらいの時期に訪れ、
様々な形で不調が現れ、場合によっては
競技に関わる骨折を招くこともある
女性ホルモンの過不足について。

長くなるので、先に実際にある事例と
その対策を簡単に書きます。


・女性ホルモンの増加(体の女性化)によるパフォーマンス低下
・断続的な心身の不調(PMS、PMDD)
・成長期の後半ぐらいから、腰や膝に次々とやってくる疲労骨折




不調①:女性ホルモンの増加(女性化)によるパフォーマンス低下


女子選手の体の変化は、男子のそれと比べ
とても複雑です。
これまでPHVによって、体にいろんな変化が起こることは書いたと思いますが、ちょうどこのPHVが終わった頃、イメージ的には

「そろそろ成長期終わりかけかな...」
ぐらいになると、多くの女子は女性ホルモンが
グッと上昇します。
体が、女子から女性へと変わる準備を始めるのです。

スクリーンショット 2017-12-08 14.17.48.png

上のグラフがわかりやすいです。
緑の線は「成長ー速度曲線」のグラフで、
ピンクの線は女性ホルモンの増加を表します。
(横軸は年齢です)
ちょうど黄色の四角で囲まれている部分は
女子選手のPHVが落ち着く時期で、
ちょうどこの頃から女性ホルモンが
グググーーっと増えてきてますね。
年齢にすると12~15歳です。

そしてこの時期、女性ホルモンが活発になると
体つきがめっちゃ変わります。


女性の体に変化していくのですから、当然
・体重が増える
・体脂肪が増える
これらは避けられません。
そしてこの時期、多くの女子選手を見ていて
感じるであろう「動きが重たい...」というのも、
これが一つ要因になっているのでしょう。


車に例えて言うと、動かすためのエンジンは
そのままで、車体だけ重くなっている
わけですから、そりゃ動きは重くなります。
加えて体重が大幅に変わると、
前のクラムジーの記事で挙げたように
体の変化に感覚が追いつかなくなっていきます。


これが、多くの女子選手にやって来る
パフォーマンス低下の現象です。


ただし現場で見ていると、どうやらパフォーマンス
低下の度合いには個人差があるようで、

・もともと痩せ型で身軽(ピョンピョン動き回る)
・PHVやその後に体型が激変した
これらのケースはパフォーマンスへの影響も大きく
反対に、

・もともと「ふくよか」
・PHVやその後も、あんまり体型が変わっていない
(もしくはPHVと呼べる時期がない)
これらのケースは、比較的パフォーマンスの影響は
少ないように感じます。


これも、クラムジーと同じく体の変化が
大きいほど症状が強く出るのでしょう。
人によっては別人になりますからね。。



さて、この女性化によるパフォーマンス低下は
ある意味生理現象のようなものですが、
対策はあるのでしょうか?
体重や体脂肪が増えすぎると良くないから、
それなら体重が増えないようにすればいいんじゃ?
と思うかもしれませんが、
個人的にはオススメできないです。



対策:体重は増えすぎても減らしすぎてもダメ?

スクリーンショット 2017-12-17 12.36.49.png

次で詳しく書きますが、この時期の女子選手が
体重(体脂肪)を減らしすぎると、
無月経による体調不良やそれに伴う疲労骨折を
引き起こすことになります

長距離の陸上界では、ひと昔まさにこれが
問題となっていたそうです。
「無月経でないと走れない!」は業界の常識で、
しかしそれによって疲労骨折が絶えなかったとか。


これは個人的な考えですが、
成長期に女性の体へと変化するのは当たり前で
自然なことだと思っています。
それを強引に妨げると
女性ホルモンが出なくなったりするわけで。


ただし、だからって太り過ぎは良くないです。
あからさまにパフォーマンスが落ちますから。

なので対策というかベターな対応は、
BMIの正常値範囲を目安に調整するのがいいのではないでしょうか。
その上で、ある程度動きが重くなってしまうのは
暖かい目で見守ってほしいです。
本人は決して、手を抜いている訳ではないですし、
クラムジー同様、体の変化になれると
パフォーマンスが戻る時が必ず来ます


※余談ですが、女子選手は結構
「ストレスたまると太るんです」って言いますし、
ストレスを溜めすぎない環境作りも
必要かもしれません。
ただでさえ、思春期は色々ありますからね。
正解はありませんが、難しいですね。

BMIの早見表は以下から↓
20160319032403.jpg




不調②:断続的な心身の不良(PMS、PMDD)

PMS(月経前症候群)という言葉を
ご存知でしょうか?
選手のお母さんや女性指導者の方は
ご存知の方も多いと思いますが、
男性で知っている人は少ないのでは
ないでしょうか。

これは黄体ホルモン(女性ホルモンの一つ)の
影響で定期的にやってくる症状で、
・腹痛
・頭痛、めまい
・腰痛
・過剰な眠気
・動悸
といった身体症状から、
・強い不安
・起こりやすい
・集中力の低下
・疲れやすい
・パニック
・無気力
といった精神的な症状も多くあります。

月経前症候群と言うくらいなので、文字通り
黄体ホルモンの分泌が増える、月経前7~10日
ぐらいにこうした症状が強くなる、と教科書的には言われています。


が、現場で見ている限り
そもそも生理不順な選手が多いですし、
決まった時期に症状が強くなるというよりは
常にいくつかの不調はあって、
それが軽い時もあれば強い時もある、その時期や
程度に共通点はあんまりない。
そんなケースが多いように感じます



特に男性スタッフや
周りの方に知ってもらいたいのは、これは
ホルモンバランスの不安定によって起こる
「症状」ということです。


なんとなく、「女子は情緒不安定やわ〜」とか
「最近イライラするようになったな〜」とか
気分的なものではなく、内分泌の構造上
起こっていることなんです。


ちなみに、ひどい場合はPMDD
(月経前不快気分障害)と言って、
・自己卑下
・強い不安
・感情が制御できなくなる
・緊張感
・絶望感
など、かなり重度になるケースもあります。


以下は、臨床スポーツ医学(2017-7 Vol34)
からPMDDについての抜粋です。

"実はPMDDはPMDよりも深刻で、気分の変化が著しく、日常生活が困難な状態に陥ってしまう。〜中略〜 特に日本人女性は我慢強い気質もあり、この症状を理解しているアスリートやスタッフがまだまだ少ないように感じる"


ここまでくると、競技どころではないですね。
しかし、ここまで来たケースも今まで
わずかながら経験したことがあります。
大変ですし特効薬はないですが、
ベターと言われる対応策を挙げたいと思います。



対策:モニタリングと専門機関での治療、そして周りの理解

スクリーンショット 2017-12-17 13.10.37.png

女性は手帳など使って、
月経の管理をしていると思いますし、
男の僕に言われなくてもわかってると思いますが(笑)
やはり、日々のモニタリングは
大事だと思います。

日々の記録をつけることで自分のコンディションに
敏感になっていきますし、ある程度
コントロールもできるようになるようです。


そして今はいい時代です。
スマホもアプリで簡単に管理できるサービスも
出て来ています。
無料なのはいくつかあり、どれも一長一短ですが
ルナルナというアプリは中々いいと聞きます。


こうしたモニタリングを日々行って、なお
PMSやPMDDの症状が強く出るようであれば
女性アスリート外来を専門にしている
婦人科への受診をお勧めします。
ホルモンバランスを整えるように対応してくれるはずです。

※もしアテがなくて探している場合、
地域によりますが僕のつながりのある婦人科を
紹介できるかもしれませんので、テニスフィジオHPの「お問い合わせ」からメッセージをください。



そして、こうした不調で何より大切なのが
周りの理解です。
特にテニス業界での女性アスリートの周りは
男性が多いので、モニタリングしたことを共有など
結構難しいことも多いです。
選手との信頼関係はもちろん必要ですし、
スタッフはこうした医科学的な知識を理解しておく必要があります。

理由なく調子悪いなんて、あるはずないですからね。



ちなみに前にも書きましたが、PHVの来る時期は人それぞれです。
10歳でPHVを迎える場合や15歳より後までこない場合もあります。
したがって、女性ホルモンが増加する時期、またそれによって心身に変化が出て来る時期も人によって変わります

こうした意味でも、発育やPHVは一人一人見極めないといけないです。





不調③:成長期の女子選手を襲う疲労骨折(靭帯損傷も含む)
(少し医科学的な内容になるので難しいかもしれません。すみません)
スクリーンショット 2017-12-17 13.29.22.png


↑これはジュニア女子の腰椎の疲労骨折です。
興味深いデータがあるので見てください。

スクリーンショット 2017-12-08 14.15.47.png
↑これは年齢別の疲労骨折の割合を示しています。
ピークが16歳で、その1年前後がかなり多いですね。
ちょうど、高校の進路を決める時期か、
高校に入ってさあこれから!という時期と重なります。

これから!という時期に疲労骨折で長期離脱...
なんて避けたいですよね。
ですが、なぜこの時期に疲労骨折がこんなに
集中しているのでしょう?
実はこれにも、女性ホルモンが大きく
関わっています

スクリーンショット 2017-12-08 14.17.48.png

あえてもう一度、女性ホルモンが増える時期の
グラフを挙げてみました。
12歳〜16歳にかけて、女性ホルモンがめっちゃ
増えています。

重要なことは、この時期は女性ホルモンによって
骨の強度が強くなるのです


「骨粗鬆症」というと、高齢者の病気と
思われがちですが、高齢者の場合
閉経によって女性ホルモンが出なくなることで
骨の密度が下がってしまう
というのが骨粗鬆症で、
成長期の場合は反対に女性ホルモンの分泌が
増えることで骨の強度が高まります

スクリーンショット 2017-12-17 13.27.39.png

↑これは女子選手の骨密度の増加を示しています。
ちょうど女性ホルモンが増える時期と重なりますね。

なのでこの時期に女性ホルモンが増えて
体が「女性化」するのはとても大事なことで、
12~16歳で適切に女性ホルモンが出なかった場合
疲労骨折のリスクが高くなってしまいます。



色々と怖い(脅すような?)ことを書きましたが、
安心してください笑
ちゃんと対策することで予防できます。


対策:体脂肪率(体重)と栄養管理

20151116-023-OYTEI50002-N.jpg

女性アスリートの三徴というものがあります。
有名ですが詳しく説明すると長いので簡単に言うと、
・骨粗鬆症
・無月経
・消費エネルギー>摂取エネルギーとなり、運動中のエネルギーが足りなくなる

これらが関連しあっている、という状態です。
(詳しく知りたい方はこちらから。)


栄養が不足すると、当然体脂肪は落ちます。
その状態が長く続くと女性ホルモンが少なくなり
無月経、骨粗鬆症の悪循環になってしまいます


そして基本的には、栄養管理をきちんとして
BMIを標準まで持っていくことが重要です。


①の不調でも述べましたが、
体重は減らしすぎてはいけないと言うのは
こうした理由もあるんです。

またこの時期はストレスや軽い摂食障害などで
栄養がうまく取れなかったりと
理想通りにはいきません。
僕の経験則ですが、神経質になりすぎるのも
よくないですし、完璧なコントロールは
無理だと思っていいでしょう

ただ、好き嫌いが多いとか野菜は食べないとか
それはダメです。
ダメ、絶対。です。




ここまで読んでくれた方に朗報です?

ここまで読んでもらって、おそらく感想は
「長い!」「難しい!」
ではないでしょうか笑

確かに、女子選手のコンディション管理は
とても大変で手間がかかることです。

ですが、健全な競技生活には欠かせませんし、
トップ選手として成功するならなおさらです。


実は、上に書いた内容全てを
スマホのアプリで一括管理できるシステムを
導入しはじめました。

これは、めっちゃ便利です。

IMG_8622.PNG

IMG_8623.PNG


毎日選手自身に1~2分ぐらいで
その日の体調やコンディション、月経の状況など
スマホのアプリで入力してもらい、
そのデータをアプリを通して関係者
(スタッフや両親)で共有できるシステムです。

すごくいいのは、蓄積されたデータを
勝手にアプリが分析してくれて、
「食事はどの栄養素が足りてないですよ」
「○時間睡眠をとったら、次の日は調子いいですよ」
「次は〇〇日ぐらいに生理が来そうですよ」
とか、勝手に教えてくれます。

本来なら専門家が時間をかけて分析することを、
そこまで精密ではないにせよ
自動でやってくれます。


このアプリは、僕が後日案内したいと思うので、
気になる方は今後のブログをチェックしてください。



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テニスフィジオでは、ジュニア選手の
トレーニングや体のケアを大阪のジムにて
マンツーマンで行なっています。
詳しくは以下のテニスフィジオHPよりご覧下さい。





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シリーズ6話目のテーマは、

成長期に原因不明の不調が長く続き失速、
その後【再浮上したor脱落してしまった】事例



についてです。



クラムジーという言葉をご存知ですか?
(前記事で紹介しましたが)


これは個人的には超超超大問題で、
これを専門分野として研究したろかと思うくらい
深刻な問題です。


クラムジーを英語で直訳すると
「不器用な」とか「鈍臭い」みたいな意味に
なりますが、今まで順調だった選手が
ある日を境に突然、「不器用」で「鈍臭く」なってしまう現象です。

んなことあるんかいと思うかもしれませんが、
本当にあります。


深刻なのは、重症な例だと
今までロースコアで勝っていた相手にも
勝てなくなってしまうぐらい動きが鈍重に、
そしていわゆる「球感」が落ちてしまう。

その不調を改善しようと頑張るほど
調子が崩れてしまう。
無論、新しい技術の習得なんて全くできない。

こんな症状です。



先に結論を言うことになりますが、クラムジーは
・現時点で特効薬や予防策が確立されていない
・しかも、調子が悪い時期が最長2年ぐらい続く

僕がこれを問題だと感じてる理由です。


そしてこれを解決するには、クラムジーについて
現状わかっていることを理解して、
できる対策と心構えをしておくことです。


以下は、クラムジーについて分かっている現状と
できる限りの対策についてです。
(毎度繰り返しますが、脅かしてるわけではありません。
こういった不調が原因で競技を諦めてしまう選手を一人でも少なくするための記事であることをご理解ください)





その①:クラムジーは世界中で問題になっているが、研究データがほとんどない

スクリーンショット 2017-12-07 15.20.37.png

クラムジーの症状は、世界各国あらゆる競技の
ジュニアに起きているようです。
そして「クラムジー」という言葉自体も世界共通です。


しかし、世界中を探しても
学術的なデータはほとんどなく、
研究がされていないのが現状のようです。
(そもそも、クラムジーを表す学術用語も存在せず、研究しようとしている人がいるのかどうかも怪しいものです)


数少ない情報の中でわかっているのは、
急な体の発育(PHV時期の変化)に、
指令を送る脳や感覚器がついていけてない状態
のようです。


シンプルに例を挙げると、
ラケットを持つとき、
いつもグリップを握っている位置よりも
少し長く握って打ってみてください。
何か違和感があると思います。


グリップが長くなった分、ラケットは重いので
いつもの感覚で打つと振り遅れてしまうように
感じますよね?
指令を送る脳や感覚器が、いつもと違う
ラケットの重さについていけてない状態です。

これに似たような状態だと思ってください

PHVで手足が伸び、いままでよりも重くなった
手足や体重に、指令を送る脳や感覚器が
ついていけてないんです


そして、ラケットの例で例えると
最初は違和感があっても、何日も何ヶ月も
その長さで握って打っていると、
違和感がなくなっていきますよね。

これが、今の重さに脳や感覚器が
追いついていきた状態で、
クラムジーが治まるのも、このような状態と
考えられています。


この感覚の乖離と、それが追いつくまでに
半年〜2年くらいかかることが多いのですが、
半年と2年ってだいぶ差がありますよね。。

しかも、症状も軽い例と重度な例が存在します


2年も重い症状で競技を続けていると、
ほとんどの選手は心が折れてしまうでしょう。
その間、今まで簡単に勝てていた相手に勝てなくなり、かつてのライバルはどんどん先に進んでいくのですから。


ですが、症状の軽い重いは
いくつかの共通点があるようです。
それが下の「その2」です。




その②:細身で長身の選手、手足が長い選手に多い
スクリーンショット 2017-12-05 12.46.47-thumb-300x289-6309.png

以下は、医科学的な根拠はありません
僕や一緒に仕事をしている人たちが
現場レベルで体感していることです。


・PHVで急激に身長が伸びて、同世代の平均身長よりも長身になった選手
・同身長の選手と比べて、手足が長い選手
・PHVを迎えるまでに体脂肪が少なく細身だった選手

下の写真を見てください↓
IMG_8625.jpg

これは、ある複数の選手の身長の変化を
グラフ化したものです。
(守秘義務があるので、実際の症例を複数ミックス
して、架空のケースとしてグラフ化しています)

青印の選手は、急激にPHVを迎えて身長が伸びていますね。


こうした選手は、比較的症状が重く出るケースが多く、クラムジーが続く期間も1年〜1年半と長めです

一方で、

・PHVで急激に伸びるのではなく、
常に一定して身長が伸び続けている選手
・体脂肪が多く、いわゆる「ふくよか」な体型の選手
・ずっと小柄な選手

は、比較的症状が軽く、期間も半年〜一年と
短い傾向にあります。
(症状が全くないケースも
しばしば見られます)


私見ですが、身長や体重の「ハードウェア」の
変化が急激なほど、感覚との乖離が生まれて
クラムジーの症状が出やすくなるのではないか、と
個人的に考えています。




次に、以下は現時点で考えられている
クラムジーの予防と対策です。



対策、予防①:PHVがやってくるまでに、様々な運動体験をしておくこと

スクリーンショット 2017-12-07 15.26.47.png

この予防は、PHVが来る以前にできることです。
正直、クラムジーになってからの対策よりも
なる前の「予防」の方が大切と感じます。


これは旧東ドイツで「スポーツ運動学」を
研究したマイネル博士の提唱ですが、
似通ったたくさんの運動経験をすることで
神経系の運動学習が進みやすくなる
という考えに基づいています。

例えば「走る」という動作一つにしても、
・かけっこ
・雑巾掛け...足首で蹴る
・自転車...ピッチ(回転数)を上げる

など、走る動作に必要な要素がいくつかあり、
その要素を満たす運動をたくさんしていると
いざ走る練習をした時に上達が早くなる、
というものです。

そしてマイネル曰く、クラムジーの時期は
指令を送る脳や神経細胞が変化した体に
追いつこうとするために、過去に行った運動経験をヒントにしようとする、とのことです。


クラムジーで走るのが遅くなった選手は、
無意識に今まで行った「雑巾掛け」や「自転車」
などの体の使い方を思い出して
遅れを取り戻そうとするのです。

重要なのは、このときその選手に
「かけっこ」や「自転車」をやったことがないと、
ヒントにする感覚の記憶がないため
症状が重く、そして長くなってしまう傾向にあるそうです



ちょっと専門的で難しかったかもしれません。
結論を言うと、幼い頃にテニスに似た運動経験をたくさんしておくことが、予防になるということです。

※ちなみに僕が思う似た要素の運動は、
・卓球(打点とのコンタクト、遠近感など)
・バドミントン(オーバーヘッド動作)
・陸上全般(スピード系)
・クラシックバレエ(内的な身体感覚)
などは良いかなと感じます。



対策、予防②:クラムジーの時期は、できるだけシンプルで体を大きく使う運動をすること

スクリーンショット 2017-12-07 15.32.55.png

例えば、スキップや走り幅跳びなどで
大きく手足を振って行うことが大切と考えられています。


クラムジーの時期になると、多くの選手は
体を大きく動かすほど違和感が強く出るため
無意識に動きを小さくしてしまう傾向があります。



そして、必要以上に小さな動きを続けてしまうと、
今度は体や脳がそれを覚えてしまい、
クラムジーが治ってからも動きを取り戻せなくなるからです。


これはオンコートの練習にも言えることで、
あるコーチは手出しでいつもより大きく体を使い
一球一球感覚を確かめるシンプルな練習を
していました。


基本的に、クラムジーの時期は今までやってきた
内容をできるだけシンプルに反復して、
感覚を確かめる程度にとどめていく方が
良いでしょう。



対策、予防③:体重を増やしすぎないこと

IMG_41631.jpg

当然といえば当然ですが、必要以上の体重増加は
動きが余計鈍くなってしまいます。
体を動かす「エンジン」の性能は
すぐには上がらないですから、「車体」は
できるだけ重くせず、今までを維持することが大切です。


※ただ、女性の場合はホルモンの増加によって
体脂肪が増えていき、避けられない体重増加もあります。
そんな中無理にダイエットとかは危険なのですが、
これについては、次回詳しく書いていきます。




ここまでが、クラムジーの予防、対策として
現時点でわかっていることです。

最初に結論を言ったように、クラムジーには
特効薬はありません。
できるだけ症状を軽く、そして短くするために
これらの対策をすることが重要ですが、
反対に絶対にやってはいけないこともあります。

それが以下の内容です。



クラムジーの時期に絶対やってはいけないこと


①トレーニングや練習で、無理な負荷をかける
②新しいことを覚える練習やトレーニングばかりする
③癖や違和感をすぐに直そうとする


これらはいずれも、脳や神経系を混乱させてしまいます

クラムジーは最初に述べた通り、
「体の変化に、脳や神経系、感覚器がついていけてない」状態です。

このとき脳は、体の変化についていこうと必死です。
今までやってきた運動経験
神経系のネットワーク)を必死に思い出して、
感覚を取り戻そうとしています。


そんな時に、新しいことを覚えようとしたり
無理に負荷をかけたりすると、
今までの運動経験をより混乱させてしまうことに
繋がります。


(これらは医学的根拠はなく、あくまで経験に基づく臨床推論ですが、現場でも上手くいった試しがありません)



あくまでシンプルな運動や練習、
これまで行ってきた復習に徹するのがベターだと現時点では考えられています。






......クラムジーについては、まだ未知数が多く
今後研究によって明らかになっていくかどうかも
正直わかりません。

確実に言えるのは、クラムジーで悩んでいる選手はかなり多く、そのほとんどが「クラムジー」ということを知らずに悩んでいる
という現状、そして

クラムジーの症状は、いつか必ず終わりがくる

ということです。


今日の記事も根本的な解決ではないですが、
クラムジーを抜け出した後に再浮上する選手は
たくさんいます。
3年越し、5年越しに復活して
プロとして活躍している選手も実際にいます。
希望を捨てずに、頑張ってほしいものです。



次回は、このクラムジーの時期に重なって起こる
女子選手の内分泌(ホルモン)系のお話です。

クラムジーだけで複雑すぎるのに
まだあるんかい!と思いますが、この時期は
ホント大変なんです。

不調の選手は、何か改善のヒントが
見つかるかもしれないので、参考にしてください。


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シリーズ5話目のテーマは、

U12で体が大きくて勝てていた選手が
【U14以降で失速し、勝てなくなったor大人になるまで勝ち続けてトッププロになった】事例

についてです。


前回の記事は、発育が遅いことで
なかなか同世代の選手と戦っても勝てない。
成長を待っている間はもがいても成績が上がらず、
ライバルたちはどんどん先に進んでしまう。

そんな切実な悩みや取り巻く環境についてでした。



今回の記事はその逆。
発育が早く、低年齢で勝てている選手についてです。

2013-1.12.5.1.jpg

↑このグラフでいう
「発育が早い」方の選手です。
生まれ持った遺伝子や生活習慣の影響で、
同世代よりも体格に恵まれる選手がいます。



このケースはなかなか大変です。
本当の意味で成功するには、
超えないといけない壁が4つ
(女子の場合は5つ)あり、この壁を超えないと
今は勝てていても、やがて失速する可能性があるからです。



ちなみに何度も書いていますが、
僕の活動理念は、選手の可能性を潰さないこと、
チャンスを手にしてもらうことです。


決して脅かしてるわけではなく、
多くの選手に訪れるネガティヴな未来と
それに対する対策を、順序立てて説明していきます。




第1の壁:慢心せず冷静に現状把握できるか


発育が早い選手は、はたから見ると
現時点では順風満帆に見えてしまうのです。


前の記事でも述べましたが、
U12の世界で発育が早い選手と遅い選手の戦いでは
生物学的には13歳と8歳がケンカするようなもの、
ジャイアンとのび太が戦ってるようなものです(笑)


当然、技術に大きな差がなければ
13歳(ジャイアン)が勝ってしまいます。
それがはたから見ると、
「〇〇ちゃんは強いね!」
「同世代ではずば抜けてるね!」
とお褒めの言葉ばかりになります。


本人は子供なので、周りの言葉を鵜呑みにして
「自分には才能がある!」と
勘違いしてしまうことも多々あります。

そして時に、周り(保護者や指導者など)も
冷静にその選手を見ることができず、
「このまま行けば、将来有望だ!!」と
なってしまうこともあります。

しかし、もう一度同じ表をあえて載せますね。。

2013-1.12.5.1.jpgのサムネール画像

発育が早く、のび太に勝っていたジャイアンですが
のび太もやがて大きくなります。
前記事で書いたように、
のび太は自分の不利を知っていて、
現状勝てないので必死です。


きっと、必死に技術やコーディネーション能力を
磨いてくるでしょう。
※発育が遅いうちは、支える筋力やパワー系が
弱いので、技術の飲み込みも早くありません。
しかし、成長したら嘘のように技術が上がってきます。


そんなのび太がジャイアン並みの体格になったら
どうでしょうか?
それでもジャイアンは勝てそうですか?


冷静に見て、「技術力で勝っている」なら
いいと思います。
しかし、「体格の差だけ」で勝てている場合、
そして本人や周りがそれに慢心しているケースは
U14から失速しやすくなってしまいます。


この壁を越えるポイントは
「冷静に現状分析すること」です。
舞い上がる気持ちをグッとこらえて、
・なんで勝ててるか?
・成長が追いつかれて、それでも尚トップをキープできるか?
冷静に考えることが大切です。




第2の壁:スキルとコーディネーション能力を磨く(3年先の稽古ができるか)


最初の壁でお伝えしたように、
のび太はやがて大きくなります。
ひょっとすると、ジャイアンよりも。


それも、体格を補うために必死に身につけた
フットワーク、技術、その土台となる
コーディネーション能力を備えて。
こうなるともはや、のび太ではありません
今までとは違う選手です。



ちなみに、発育が遅い選手が成長して
それまで上位だった「発育が早い組」を
抜かしていく年代があります。

それがU14〜U16です。

この年代は本当に、ランキングや成績の
順位が変動しやすいです。
(進学に伴う進路変更などのの問題もありますが)



では、発育が早い選手は追い抜かれないために
どうすればいいか?


それはPHVが終わってしまうまでに、
テニスの技術と、土台となるコーディネーション能力をできる限り磨くことです。


もしかすると、ピンと来ましたか?


そうです。前記事に挙げた「発育が遅いジュニア」
がやるべき課題は、実は発育が早いジュニアこそ本気で取り組まないといけないのです
※なので、発育が早いジュニア(に関わる方)は
必ず前記事を読んでください



ちなみに、発育が早くて勝ててる選手も
競技テニスで今後もやっていきたいなら、
前記事にあげた「身長を伸ばす工夫」を必ずやっておきましょう↓

IMG_72443.PNG

これは、今年4月に ITFジュニアで
オーストラリアに遠征した時の写真です。


赤は日本のジュニア。
当時15歳で、身長は160cmちょいです。
日本女子選手(U16)の平均よりちょい上くらいです。
対戦相手は...目測175cmはありますね。


ITFジュニアは13~18歳まで無差別級で戦います。
発育が早く、低年齢で勝てている選手は
各地域のトレセンやテニス協会の推薦で
ITFなどの大きな大会に推薦されることがあります。

※これが、発育が早い選手の最大のメリットでも
あります。
とにかく経験を積みやすい。
大きな舞台で活躍するチャンスがどんどんやってくる。
そこで勝てば、上昇気流に乗ることができる。



一方で、大きな舞台に出れば出るほど、
自分よりさらに規格外の体格の相手と
戦うことになります。
今までは
ジャイアンVSのび太だったのが、今度は
ジャイアンVSジャイアンのパパ
みたいな構図になります。

そんなときでもやっていけるように、
発育が早いジュニアこそ「身長を伸ばす工夫」を
必ずしておきましょう。



第3の壁:練習相手がいなくなる(と感じる)

スクリーンショット 2017-12-06 20.47.33.png


フィジカルに関わる人間としては専門外ですが、
発育が早く勝っている選手ほど、だんだんと
自分よりレベルの高いジュニアと練習する機会が
少なくなるようです。


特にテニスの場合、テニスクラブは中学まで、
高校に入ったら、同じレベルが練習できる
有名高校の部活に入ることが多いので、
どうしても中学3生くらいのジュニアや
そのレベルに達した発育の早い選手は、
練習環境に困ってしまうケースがよくあります。


ただ、クラブによっては高校生やOB、
コーチなどとハイレベルな練習をできる環境もあります。


ご自身のクラブを見ていると、
その環境があるかどうかは分かると思います。
もし近い将来、この問題が出て来そうなら
早めにクラブのコーチなどに相談してください。


熱心なコーチであれば、その選手のために
環境を考えてくれるはずです。
※育成は何より、コーチとの信頼関係が大切です。
そのクラブに勝手に見切りをつけるのではなく、
きちんと現状や今後のことをコーチに相談しましょう。





第4の壁:成長期に訪れる不調(クラムジー)


クラムジーという言葉をご存知でしょうか?
あまり知られていませんが、とても重大な問題です。

簡単に言うと、成長期に突然パフォーマンスが落ちてしまう現象です
こちらに参照の記事を載せておきます


主に成長期の後半、
PHVを過ぎてからやってくることが多く、
本人は頑張っているつもりなのに
どうやっても調子が悪い。
今まで通りに体が動かない。
パフォーマンスが上がらない。

そんな時期が半年〜2年くらい続くんです


これは個人的に、めちゃくちゃ大問題だと感じています。
何が問題って、これに悩んでいるジュニアは相当多いはずなのに、クラムジーという言葉がテニスでは認知されていないということです。
※サッカーやフィギアスケートなどではよく知られているそうです


そして発育が早いジュニアにとっては、
14歳〜15歳と、中学卒業以降の進路を考える
その真っ最中に襲われる症状でもあります。

今まで順風満帆だったのに、急な不調のせいで
進路を変更せざるを得ない...
そんな問題も見られます。


めちゃくちゃ大問題ですが、現状謎な部分も多いので、次回のテーマで詳しく取り上げて書いていきますね。




第5の壁:急激な女性ホルモン増加による不調

男子には関係のない話です。
女子選手はもう一つ、超えないといけない
壁があります。


女性ホルモンの急激な増加、つまり
「体の女性化」によるパフォーマンス低下です。

AS20151003002640_comm.jpg

↑浅田真央選手をイメージするとわかりやすいかも。
急激に体が少女から女性の体に変わり
今まで飛べていたトリプルアクセルが飛べなくなる...
そんなこともありましたね。


ジュニア女子は、ある時期を境に女性ホルモンが
急激に出始めます。
それによって体脂肪が増え、一気に女性の体になっていきます。


例えれば、エンジンはそのままで車体だけが重くなる訳ですから、パフォーマンス(特にスピード、ジャンプ系)は下がってしまいますよね。


今まで細身で身軽だった選手や
スピードが武器だったほど、これに苦しめられる
ことになります。


大変なのは、これが起こる時期が
PHVの後、身長の伸びが落ち着いてきた頃で、
ちょうど先のクラムジーの時期と被ります


この問題も、クラムジーと並んで
きっちりと伝えたいので、次回以降テーマとして取り上げて書いていこうと思います。





・・・・・



発育が早い選手に訪れる問題と
その対策をまとめてみました。

なかなか大変でしょ?


ですが、発育が早い選手ほど
チャンスを得やすいのは事実ですし、
実際、今の日本テニスのシステムは
発育が早い方が有利なシステムになっています。


超えないといけない壁は多いですが、
これを超えると成功を掴める確率もグンと
高まりますので、次回以降もぜひ見てください。


次回は、先に上げた4つ目の壁
「クラムジー」についてです。
調子の悪いジュニア、必見です。



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シリーズ4話目のテーマは、

「U12で体が小さくて勝てなかった選手が
【U14以降で飛躍したorそのまま勝てずに消えていった】事例

についてです。




U12〜14の世代によくみられるのが、
テニス自体は悪くないと言われるのに
発育が遅くて勝てないケース。


まずは、画像を見てみましょう。

サポートさせてもらっている現場のジュニアが、
ずいぶん前にフロリダに行った時の写真です↓
17-1.9.18.1.jpg

一番左、青の服を着ている現地のジュニアと
その右、ラケットを杖代わりにして立っている
日本のジュニア。

二人とも、同じ10歳です。

さて問題です。
両者、テニスの技術が一緒なら
どっちが強いでしょうか?

言うまでもありませんね。



「発育が早い」と言うのは、本来の成長期
(男子は13歳前後、女子は11~12歳)よりも
成長期が早く訪れる、という状態です。

子供の成長期は本当にそれぞれで、
僕が経験している中では10歳で成長期を
迎える選手や、反対に男子だと高校2年生で
PHVがやってきた例も見てきました。


それくらい、伸びる時期は個人差があるんです。


発育が早いと、筋力の絶対値(特に背筋力)や
エネルギー系の能力は高いことが多いので、
ラケットを振り回す力がない低年齢の中では
大きなアドバンテージとなります。



反対に、発育が遅いとどうでしょう?
どうしても、発育が早い選手に
勝ちにくいものです。


たとえ話ではなく、発育の早い・遅いの違いで
同じ10歳でも生物学的に8歳のジュニアもいれば
13歳のジュニアも存在します
(生物学的年齢と言います)。


まさに大人と子供が戦う。
そんな構図が、U12やU14の世代では
行われています。


では、「発育の遅いジュニア」は
どうすればいいのか?
不利な状況で戦い続けないといけないのか?
という問題ですが、
発育が遅くて不利でも、差を埋める方法はいくつかあります。

以下に、方法と具体例を挙げます。



方法1:身長を伸ばす工夫をすること

前記事で、もみの木クラブから
身長の最終地点を予想する方法を書きました。
(まだ見てない方はリンクから見てください)


これで出てくるのが、何も工夫しない場合の
最終の身長です。



実は多くの場合、以下をしっかり行うことで
本来の最終身長よりも伸ばすことができます

・栄養管理...特に運動後のタンパク質補給
・睡眠管理...PHVが終了するまでは、できるだけ早く寝る


特に、睡眠管理は難しいですが大事です。
テニスクラブのシステム上、レベルが上がると
上のクラスで練習することが多いですが、
上のクラスは多くは遅い時間に練習しますよね。


これが難しく、成長速度曲線を取っていると
上のクラスに上がった途端に身長が伸びなくなった
というケースが結構あります。



そこで練習量を減らして、例えば週4を週3に
とか、少し早く切り上げるとか工夫をすれば
また伸びるようになった、というケースも
ありました



栄養管理は複雑なので別の機会に書きますが、
こうした工夫をすることで実際に伸びたケースを
紹介します↓
15.12.23.3.JPG

上から3番目の成長ラインに沿って発育していた
選手が、栄養管理と睡眠管理を工夫しだすと
成長曲線に変化が出てきました。


もう一人、これは僕やエナジーのブログで
度々出ています、通称キミレンコ。
現在のジュニア女子ナショナルチーム選手です↓
IMG_2006.JPG
※右です
この写真はオランダのITFジュニアで
優勝した時のものですが、並んでいる外国人選手
大きいですね。170cmはあります。
対してキミレンコは158cmで大きくありませんが
当初の予想では、155cmになればいいかな...
ぐらいだったそうです。
それが栄養管理と睡眠管理で
発育を促進され、トップまで上がった例です。


何が言いたいかというと、
「早く寝ましょう!」ということです。
(ダラダラして寝るの遅くなるとかは論外です)



方法2:成長期が来るまでにコーディネーション能力やテニスの技術をできるだけ高めておく


コーディネーション能力とは、自分の意のままに
体を操る能力です。
※コーディネーション能力は他にもいくつか
種類がありますが、ここでは
「意のままに操る能力」と考えてください。


これは神経系のトレーニングで養うことができ、
この能力があるとボールを打つ時の
エネルギー効率がまるで違います。

論より証拠、動画を見てください↓
※30秒くらいです


わかりやすいように、ストロークで使う
回旋系のコーディネーショントレーニングを
いくつかまとめてみました。
全て、場面は違いますがストロークで
使われる動きです。

動画のように自由に動けば、なんとなく
いいテニスができそうな感じがするでしょ?笑


実際、「意のままに体を操る能力」があると
発育の差を埋める手段になります。
※ちなみにこれは、怪我の予防にも効果的です。


そして、体が小さくてラケットを振り回す
力がないジュニアも、この能力があれば
それを補うこともできます
(というより、動画のようなトレーニングも
最低限の筋力がないとできないので、
やってる内に勝手についていく)。


そして、このように土台を作った後は
できるだけテニスの技術を高めておくことが
大事ですね!


U16の時期になると、発育が遅いジュニアも
発育が早いジュニアに体格が追いついてきます。
その時に技術力で勝てるように、
成長期までにこうした神経系を鍛えるのが
大切です


方法3:身長を管理し(成長曲線など)、今後の心構えをしておく


これが一番大切です。

下のグラフを見てください↓
2013-1.12.5.1.jpg

発育が早いジュニアに10歳以降引き離されますが、
16歳くらいには追いついてきて、18歳には
追い越しています。

こうしたケースはよくあります。

発育が遅くても、後からある程度
追いつくものなんです。

しかし難しいのが、
「いつ体が大きくなって勝てるようになるのか分からない」
ということ。


発育が遅いジュニアが失敗するケースの多くは、
「いつ大きくなるんだろう...」と何年も悩み、
その間は負けが続き精神的に折れてしまう。

ちょうど中学〜高校の受験シーズンもあり、
進路のことも考えると、諦めるしかない...
と、テニスを諦めてしまうケースです。


その不安を防ぐために、前記事に書いた
最終身長の確認や、成長曲線や身長ー座高などの
データを取っておくのです。
「いつ、どのくらい伸びそうか」
「もうそろそろPHVが来そう」
など、データから少しでも見えることがあれば
不安も軽くなります。

これらのデータは、精神安定剤としても
効果のあるものです。





...今回はとても長くなってしまいました。
長文なのに全部読んでいただいて
ありがとうございます。


やはり発育が遅い選手は、成長が追いつくまで
不利なケースが多いのは仕方ないですが、
一方で遅咲きで伸びる可能性がある選手もたくさんいます。
(そんな選手が潰れていくところも、
嫌というほど見てきました)



そうした選手の可能性を潰さないように。
もっと活躍のチャンスを掴めるように。
そのために書いていますので、次回も変わらず
長文になると思いますが(笑)、
よろしくお願いします。


次回/「発育の早い選手」を襲う問題!発育が早い=いつまでも強いではない。





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シリーズ3章のテーマは、

「PHVとは。一人一人の成長を見極める」

です。

※まだシリーズ過去の記事を読んでいない方は
以下からお願いします。


※このシリーズの記事は、以下から全て見ることができます。
まだシリーズ過去の記事を読んでいない方は先に過去記事を見てください。


成長による不調と対策









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



前の記事では、成長期の知識と
「成長期を一人一人見極めて対応する」
ことが大切と説きました。


今回共有したいのは方法論。
どうやって成長期を一人一人見極めるのか?
ということ。


ちなみに競技テニスにおいて、身長という要素は
めちゃくちゃ大事です。

幼少期の頃から
・この選手はいつ、どのくらいの身長になるのか?
・最終的にどのくらいの身長になるのか?

が分かるととても育成に役立ちますし、
各データとの分析もしやすいです。


そしてこれらは、一般の方でも簡単に
調べる方法が二つあります。



方法1:成長曲線と成長速度曲線を記録する


一番簡単で、ある程度信頼できる方法です。
(というか、専門の機関でないと
これより精密な方法はできない)


成長曲線とは、その名の通り子供の成長を
記録するものです↓

スクリーンショット 2017-12-05 14.50.23.png

縦軸は身長。
横軸は年齢。

学校で、一年ごとに身長を測りますよね?
その今までのデータを、この表に入れていきます。
すると、上の導線でどの位置にいるか
(平均か、平均以上or以下か)大まかに
わかります。

また、もみの木クラブのHPの機能を使うと
お父さん、お母さんの身長などを入力すれば
ジュニアの最終的な身長の予想を
見ることができます。
※無料で調べられます。


そして、成長期が来ていることを確かめるのは
成長速度曲線というグラフを使います↓
スクリーンショット 2017-12-05 14.57.44.png

二つグラフがありますが、下の方です。
二次関数みたいになってるやつです。
縦軸は「一年で伸びた身長(cm)」
横軸は年齢を表します。


これをつけていくことで、
・成長期に差し掛かっている
・今ピーク!
・そろそろ落ちつていきた...かな?
みたいな分析ができます。


そして前記事や今回の冒頭で出て来ている
PHVというのは、このグラフで
二次関数みたいに「ギュン」と伸びてから、
一番山のてっぺんになってるところまでを指します。
(Peak Height Velocity「身長スパート」の意



ちなみに、この表では横軸は一年単位ですが、
成長速度曲線をつける場合、横軸を
1ヶ月単位にして書いていったほうがいいでしょう。
でないと、成長期前後の変化を正しく
捉えられないので。


成長曲線と成長速度曲線の表は、どちらも
無料でダウンロードできます。


これらの表は、素人でも比較的簡単に記入でき、
ある程度予測も立ち、なおかつ
専門家に相談するときにも役立ちます。


知識がある人は、やらないと損です。


反対に、取った記録を後から付けていくので
長期的な予想
(例えば一年後に成長期が来そうとか)は
できません。
あくまで一般的な予想と、リアルタイムの
記録と分析です。





方法2:身長と座高の比率でPHVを予想する

これは、タナーという人の研究から
応用されたもので、近いうちPHVがやってくる!
という予想ができる方法です。


詳しく言うと書ききれないので割愛しますが、
身長が伸びる際、まず初めに下半身(足の骨)が
伸び始めるといわれます。
そのあと上半身が伸びたり胴体が伸びたりと
男女でやや異なりますが、下半身の伸びを
追いかけるようにして、全体の身長が
伸びていきます。

※根拠が気になる方は、専門的な文献ですが
こちらを見てください。


なので、身長と座高(下半身を除いた長さ)を
図っていくと、今までより身長と座高の差が
開いていく時期がやって来ます
※つまり、足が伸びている

これがあると、そろそろPHVに差し掛かるだろう
そんな予想ができるのです。


ただこれも、基本的にリアルタイムでの計測ですし
制度は完璧ではありません。
ですが参考にはなるはずです。




他にも、医科学的に正確に予想するなら
X線(レントゲン)やエコーで骨端線を確認して
みたいな話になってきますが、
こういうのは専門機関でしかできませんし、
最初にデータを取るなら上の二つ
十分でしょう。


この二つの方法を組み合わせて、
成長の度合いを見極める。
そして、PHVの前後・最中で
最適なトレーニングを考えていく。


これが、成長期の体作りの基本的な流れです。




...と、ここまで共有してほしい知識編を
書いてきました。

これを実践するのは難しいと
思うかもしれませんが、
ジュニア育成には必須です。
このデータを基に色々と分析するので
これをやっておかないと、

・生まれつき運動神経の良い選手に
追いつけない。
・上達が伸び悩む、そもそも上達しない
・突然のケガで長期離脱する
・成長期に伴う様々な不調、
体のトラブルで成績が落ち、消えていく

そんな事態に陥りかねません。



僕の活動理念は、テニス選手の
体の悩みをなくすことと、
その選手の可能性を
最大限に伸ばしてあげることです。


なので、このシリーズはこういったノウハウを
無料で全公開していますし、次回以降も
無料で全公開していきます。



ここまでは知識編でしたが、次回以降は
実際にあった以下の事例を書いていきます。

・U12で体が小さくて勝てなかった選手が
【U14以降で飛躍したorそのまま勝てずに消えていった】事例

・U12で体が大きくて勝てていた選手が
【U14以降で失速し、勝てなくなったor大人になるまで勝ち続けてトッププロになった】事例

・女子選手特有の「月経」が成長期に始まって
パフォーマンスが大きく下がってしまった事例
またはそれを乗り越えた事例

・成長期に原因不明の不調が長く続き失速、
その後【再浮上したor脱落してしまった】事例


生々しい話になると思うので、
個人が特定されないように複数の事例を
組み合わせて書いていきます。


お楽しみに...?



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今日は前提となる知識のお話で、
トレーナーやフィジオはもちろん
コーチや保護者の方、そしてジュニア本人にも
共有したい知識を書いていきます。
(ちょっと難しい部分もありますが、大事な
体のことなので、最後までお付き合いください)




一般的には「体の成長」と簡単にまとめてますが、
成長は二つに分けられます。
「発育」と「発達」です。


シンプルに言うと、
発育=体が大きくなる(量)
発達=体の機能が高くなる(質)

つまり、体が大きい(ガタイのある)ジュニアは
「発育がいい」となります。

一方で、体の大きさは並ですが、すごく洗礼された
動きやいい体力を持つジュニアは
「発達がいい」となります。


この二つはイコールではありません。


これは、今は言葉あそびですが
後になって重要になってきます。



少し話は変わって、スキャモンの発育曲線
というものがあります。
日本では有名なので、知ってる方も
多いのではないでしょうか。

img_sec2_01.gif

↑こんなやつです。
横軸は年齢、縦軸は発育の割合を示しています。

よく言われる「ゴールデンエイジ理論」は
この曲線が根拠の一つになっています。
※あと二つ、神経の可塑性と即座の習得という
要素がありますが、それはまたの機会に。



ゴールデンエイジ理論は有名ですが
かいつまんで言うと、9~12歳前後は神経系が
発達しやすいので、この時期にスポーツすれば
上手くなる!!
みたいなやつです。
(かなりシンプルに言ってます。ちなみに
この理論は近年否定的ですが、後述します)



上の曲線を見ると、確かに神経系は12歳くらいで
100%に近くなります。
なので、一見スキャモンの曲線や、
それが元になったゴールデンエイジ理論は
素晴らしく思えるかもしれません。


しかし、ここでさっきの
「発育」と「発達」の話が出てきます。
スキャモンの曲線というのは、正しくは
【スキャモンの「発育」曲線】と言います。


発育です。体の大きさです。

この曲線はもともと、スキャモンっていう方が
いろんな年齢の人を解剖して、それぞれの臓器の
重さを図りで測るという方法で調べました。

つまり、上の図のグラフは「量」であって
それを上手く使えるか(=質的な発達)とは別の話です。


これが、近年のゴールデンエイジ理論が
否定的に見られている理由の一つです。




じゃあ、ゴールデンエイジ理論は間違ってんのか?
幼少期に練習しても上手くならんと?
って思うかもしれませんが、そうでもありません。

実際に神経系は量も質も13歳ぐらいまでに
80%は出来上がると言われますし
(これを神経の可塑性といいます)、
現場で見ててもこの時期が一番上手くなると
実感しています。



話を戻します。
もう一度、スキャモンの表を見てみましょう↓
スクリーンショット 2017-12-05 12.46.47.png
↑線が増えて見にくいですが、印をつけてみました。
黒点線の6~12歳の成長期までは、神経系が
もっとも発育する時期(黒○)。

赤の点線は一般型(筋骨格や心臓、呼吸器系)が
発育する時期(赤○)で、これは成長期の時期に
相当する、という感じです。



そして下は、JTA(日本テニス協会)から出てる
ジュニアのトレーニングに関する推奨の順序です↓

スクリーンショット 2017-12-05 12.54.03.png

下の方を抜粋すると、
"発育・発達の速度は個人差が大きく、上の年齢区分はあくまでも目安となる。発育・発達期特に男子の13歳前後、女子の11歳前後のトレーニングはPHV(Peak Height Velocity of Age):身長が最も伸びる時期(年齢)を中心に考えることが望ましい。

PHV 以前:神経系のトレーニング

PHV 時期:呼吸循環系のトレーニング 
PHV 以後:パワー系のトレーニング"

(資料を見たい方はこちらをクリック
JTAのホームページ資料に飛びます)



つまり、成長期まではやっぱり神経系
(思うがままに体をコントロールする能力)
鍛え、成長期の時期は心肺機能を高め、
成長期以降は体がしっかりしてくるので
パワー強化系をやっていきましょう。
という内容で、

JTAが推奨している内容と
スキャモンの曲線を解釈したゴールデンエイジ理論で推奨している内容は大体同じです。


ちなみに僕も現場レベルですが、
これらの順序は間違っていないと感じています。




そしてここからが、今日一番共有したいところです。

JTAの資料では
「あくまで発育発達は個人差があるから、
本人の成長ピーク(PHV)時期に合わせて
トレーニングを変えましょう」
という見解です。

つまり、スキャモンの曲線を鵜呑みにして
12歳までは神経系!!13歳からは心肺系!!
みたいに分けるんじゃなく、
「一人一人の成長速度を見極めて、トレーニング内容を変える時期は個別対応していくことが大切」
ということです。


以下、まとめ↓

①スキャモンの曲線は発育(量)の話なので、この図を鵜呑みにして機械的にトレーニングしてはいけない

②しかし、ゴールデンエイジ理論の考え方自体は間違っていない。大切なのは選手一人一人の成長を見極めてトレーニングを進めること

③成長を見極めて対応するには、「個別対応」が必要ということ



じゃあ、どうやって成長を見極めるんや!!
って話は、長くなったので次回しますね。



次回/PHVとは。一人一人の成長を見極める


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不調によって伸び悩んだり
ケガによって離脱する
そんな事態は、皆さん避けたいと思います。


そのためにはジュニア選手の体の成長を
正しく知っておくことが大事ですが、
ジュニアが成長していくにつれ
どんな変化があるのか?


医科学的に根拠のあるものとそうでないもの
データが不十分だったりするもの
色々ありますが、
ちょっとづつお伝えしていこうと思います。

内容は
①教科書的な選手の身体変化
②実際の事例(個人が特定できないように
複数のケースをミックスして書きます)
③今まで起こってきた失敗と成功


仕事の合間にボチボチと書いていきますので
ボチボチ見ていただければと思います。。


〜〜追記〜〜



今日の写真/新しい試み

IMG_8622.PNG

IMG_8623.PNG


日々の体調の変化をスマホのアプリで記録し、
陸績されたデータからアプリが最適な
自己管理方法をフィードバックしてくれる。
これによって無駄なく上達を手助けしたり
怪我を未然に防いだり早期の対策が可能になる。

そんなシステムを始めていきます。

本気でやっている選手の可能性を
潰したくないんです。

成功の手助けとなるようにテストを始めますが
これも形になっていけば
広くリリースしようと思うので、
ブログをチェックしていただければと思います。


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遅くなってしまい申し訳ありません。

12月のエナジー来校日は以下になります。
基本日曜日ですが、年末は選手の海外サポートのため
お休みになるかもしれません。
よろしくお願いします。


12月
3日:日曜
10日:日曜
17日:日曜
24日:日曜



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